| 国 | 中華人民共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2021年 |
| 登録基準 | (ⅳ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻66p |
| 英文タイトル | Quanzhou: Emporium of the World in Song-Yuan China |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
泉州:宋・元時代の中国における世界の中心地とは
国際貿易港として繁栄した港湾都市
泉州は、中国福建省の沿岸部に位置する歴史的な港町であり、宋・元時代には東西交易を担う国際的な海上貿易の中心地として栄えました。この時代、泉州は「刺桐(ツートン)」の名で知られ、アラブやペルシア、インド、東南アジア、さらには東アフリカに至るまで広範な交易ネットワークを築き、「海のシルクロード」の要衝として世界中から商人や旅人を引き寄せていました。
泉州の繁栄は、単なる商業の発展だけでなく、多様な文化や宗教が共存する寛容な都市としての側面にも表れております。イスラーム教、キリスト教(ネストリウス派)、ヒンドゥー教、仏教、道教、儒教といった諸宗教の信者たちがこの都市に集い、それぞれの信仰に基づく建築や施設が築かれました。たとえば、泉州の清浄寺は中国最古の現存するイスラーム寺院のひとつとされており、アラブの建築様式と中国的な意匠が融合しています。また、開元寺には高さ40メートル以上の双塔がそびえ、宋代仏教建築の粋を示すものとして知られております。
さらに、泉州には貿易や航海に関わるさまざまな遺構が残されております。たとえば、泉州港を形成していた石湖天后宮や水関遺跡は、当時の港湾施設や航行安全に対する信仰の様子を今に伝えております。また、造船や羅針盤の使用、航海術の発展など、泉州は技術革新の拠点としても重要な役割を果たしていました。
このような歴史的背景のもと、泉州は2021年にユネスコ世界遺産に登録され、「泉州:宋・元時代の中国における世界の中心地」として国際的な評価を受けました。登録対象となった22の構成資産には、宗教施設、港湾遺跡、商業関連施設、行政機関、墓地などが含まれており、いずれも当時の繁栄と多様性を物語る貴重な文化遺産です。
泉州の意義は、単に歴史上の重要港という枠にとどまりません。それは、異なる民族や文化が共生し、交易と交流によって築かれた人類共通の価値を象徴する場所であり、現代に生きる私たちに多文化理解と共存の可能性を示してくれる貴重な遺産なのです。

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