インドの山岳鉄道群

インドの山岳鉄道群
インド
登録区分文化遺産
世界遺産登録年1999年/2005年、2008年範囲拡大
登録基準(ⅱ)(ⅳ)
その他の区分
公式テキストページ中巻183p
英文タイトルMountain Railways of India

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

インドの山岳鉄道群とは

インドにおける鉄道事業の基礎をつくった3 つの山岳鉄道

インドの山岳鉄道群は、19世紀末から20世紀初頭にかけて建設された鉄道網で、インド亜大陸における山岳地帯の交通と開発を象徴する技術的・文化的遺産です。現在、世界遺産として登録されているのは、ダージリン・ヒマラヤ鉄道(西ベンガル州)、ニルギリ山岳鉄道(タミル・ナードゥ州)、カールカ・シムラー鉄道(ヒマーチャル・プラデーシュ州)の3路線であり、それぞれが異なる地形条件と技術的課題を克服し、インド近代史において重要な役割を果たしてきました。

ダージリン・ヒマラヤ鉄道は、1881年に開業した全長88キロメートルの路線で、標高2,000メートルを超えるダージリンの町と平地のシリグリを結びます。この鉄道は急勾配を登るためにスイッチバックやループなどの技術を駆使しており、特にバタシアループはその代表例として知られています。狭軌(610ミリメートル)の線路と蒸気機関車による運行は現在も続けられており、風光明媚なヒマラヤの景観とともに、歴史的な魅力を今に伝えています。

ニルギリ山岳鉄道は、1908年に完成した全長約46キロメートルの路線で、標高300メートル台のメットゥパーラヤムから標高2,200メートルのウーティーへと至ります。この鉄道では、特に険しい傾斜を克服するために、アプト式と呼ばれるラック・アンド・ピニオン方式が採用されており、インド国内では唯一の方式です。この独自の技術は、急峻な地形を登るための世界的にも貴重な例とされています。

カールカ・シムラー鉄道は、1903年に開通した長さ96キロメートルの鉄道で、かつての英領インド帝国の夏の首都シムラーへのアクセスを目的として建設されました。この路線は、山岳地帯の曲がりくねった地形に対応するため、全線にわたり102本のトンネルと864の橋梁を有し、美しいアーチ橋や木造駅舎が現在も当時の姿を留めています。列車は狭軌(762ミリメートル)で走行し、地元住民と観光客の双方に利用されています。

これら3つの鉄道はいずれも、イギリス植民地時代のインフラ整備と開発政策の一環として築かれましたが、その過程で地域社会や経済にも大きな影響を与えました。山岳地帯の孤立を打破し、商業、行政、観光の発展を促進しただけでなく、技術的な挑戦を乗り越えることで世界の鉄道史にも重要な足跡を残しています。

インドの山岳鉄道群は、自然環境と調和しながら築かれた産業遺産であり、現在も運行されていることで「生きた文化財」としての価値を保っています。そのため、これらの鉄道は、技術、歴史、文化、そして景観の融合を体現する世界的に貴重な遺産として、高く評価されています。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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