レッド・フォート建造物群

レッド・フォート建造物群
A.サビン, FAL, via Wikimedia Commons
インド
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2007年
登録基準(ⅱ)(ⅲ)(ⅵ)
その他の区分
公式テキストページ中巻99p
英文タイトルRed Fort Complex

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

レッド・フォート建造物群とは

楽園を模した「赤い城」

レッド・フォート建造物群は、インドの首都デリーに位置する壮麗な城塞建築で、ムガル帝国の最盛期を象徴する歴史的遺産です。この城は、17世紀半ば、ムガル皇帝シャー・ジャハーンによって建設されました。彼は帝国の都をアーグラからデリーへと移し、新たな王宮としてこの壮大な赤砂岩の城郭を築いたのです。正式名称は「ラール・キラー(赤い城)」といい、インド建築の美と権力の象徴として、2007年にユネスコの世界遺産に登録されました。

レッド・フォートは、外周約2.5キロメートルにおよぶ堅固な城壁に囲まれており、赤砂岩を主材料とすることからこの名がつけられました。城内には、王の居住空間である「カース・マハル(私的宮殿)」や、公開謁見の場「ディーワーン・イ・アーム」、非公開の謁見室「ディーワーン・イ・カース」などが整然と配置され、ムガル建築の繊細な美しさと力強さを併せ持った空間が広がっています。特に白大理石に精緻な宝石象嵌が施されたディーワーン・イ・カースは、皇帝の威厳と芸術の融合を感じさせる場所です。

この建造物群の特色のひとつに、水の流れを巧みに取り入れた庭園や水路の存在が挙げられます。これはムガル建築の特徴でもある「チャールバーグ(四分庭園)」の思想に基づいて設計されたもので、王宮内に涼と潤いをもたらし、楽園的な雰囲気を演出しています。また、外からの防御と内部の快適性を兼ね備えた建築構造は、当時の都市設計技術の高さを物語っています。

レッド・フォートは、ムガル帝国の衰退後も歴史の重要な舞台となりました。イギリス植民地時代には軍の拠点として利用され、インド独立後は国家の象徴的存在として位置づけられるようになります。現在も毎年、インドの独立記念日である8月15日には、首相がこの城の「ラホール門」から国旗を掲げ、国民に向けて演説を行うのが伝統となっています。

このように、レッド・フォート建造物群は、単なる宮殿や城塞としての価値を超え、インドの歴史・文化・政治の変遷を体現する記念碑的存在です。ムガル建築の傑作としてのみならず、現代における国民統合の象徴としても重要な意味を持っております。レッド・フォートを訪れることは、インドの壮大な歴史の流れに触れる旅そのものであるといえるでしょう。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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