| 国 | インド |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2023年 |
| 登録基準 | (ⅳ)(ⅵ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻185p |
| 英文タイトル | Santiniketan |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
シャンティニケタンとは
タゴールの理念を具現化した平和の住居
シャンティニケタンは、インド西ベンガル州に位置する学術・文化の中心地であり、詩人で思想家であるラビンドラナート・タゴールによって築かれた特異な教育の理念を体現した場所です。この地は、2023年にユネスコの世界遺産に登録されました。シャンティニケタンとは、サンスクリット語で「平和の住処」を意味し、その名の通り自然と調和しながら学び、創造し、人間性を育むことを目的として発展してきました。
その起源は1863年、タゴールの父であるデベンドラナート・タゴールが、この地に静寂と瞑想のためのアシュラム(僧院)を設けたことに始まります。のちにラビンドラナート・タゴールが1901年に小規模な学校を設立し、後にそれがヴィシュヴァ・バーラティ大学へと発展しました。この大学は「世界が一つの巣である」という理念に基づき、学問の国際性と精神的価値を重視する独自の教育を実践しています。
建築や都市計画の面でも、シャンティニケタンは極めて特徴的です。従来の西洋的な校舎建築とは一線を画し、自然の風景と一体となったオープンエアの教室、伝統的建築様式を取り入れた施設群、そしてタゴールの芸術理念を反映した彫刻や壁画が配置されています。これらは単なる美術作品ではなく、教育の一部として位置づけられており、感性と知性の統合を目指す教育環境の一環となっています。
また、シャンティニケタンは、ベンガル・ルネサンスの中心でもありました。タゴール自身の文学・音楽・絵画など多方面にわたる創作活動がこの地を拠点に行われ、インド近代文化の礎を築く場となりました。今日でもシャンティニケタンは、芸術・文化・哲学の探究を通して、国内外から多くの研究者や学生を引きつけています。
このようにシャンティニケタンは、単なる教育機関ではなく、思想と芸術、自然と人間、地域と世界をつなぐ文化的景観であり、ラビンドラナート・タゴールの普遍的な理念が現在も息づく稀有な遺産です。その価値は、教育の在り方や人間の創造性に対する深い洞察をもたらし、現代においても多くの示唆を与え続けています。

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