| 国 | シンガポール共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2015年 |
| 登録基準 | (ⅱ)(ⅳ) |
| その他の区分 | 文化的景観 |
| 公式テキストページ | 中巻185p |
| 英文タイトル | Singapore Botanical Gardens |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
シンガポール植物園とは
イギリス植民地時代に築かれた植物の研究拠点
シンガポール植物園は、シンガポール中心部に広がる熱帯植物を主とした歴史的な植物園であり、2015年にユネスコの世界遺産に登録されました。面積は約74ヘクタールに及び、都市国家シンガポールにおいて、科学的研究、植物保護、教育、そして公共の憩いの場として長年にわたり重要な役割を果たしてきました。その成立は1859年にさかのぼり、当時のイギリス植民地政庁が、園芸および農業開発のための研究拠点として設立したものです。
この植物園の歴史的意義は、単なる景観や緑地としての美しさにとどまりません。19世紀末には、マレー半島をはじめとする熱帯アジア地域におけるゴム産業の発展に大きく寄与したことでも知られています。当時、園内での研究によって、天然ゴムの効率的な採取法が確立され、ゴム農園の普及と東南アジアの経済発展に大きな影響を及ぼしました。このように、シンガポール植物園は、農業技術と経済史においても国際的な意義を有しています。
園内には、熱帯雨林の自然環境をそのまま残した区域や、世界的に有名な国立洋ラン園があり、ランの育種と保全においても世界をリードしています。洋ラン園では、およそ1000種以上、2,000以上の交配種のランが栽培・展示されており、植物学研究者や園芸愛好家にとって極めて貴重なコレクションとされています。また、要人や著名人の訪問を記念して命名された「VIPオーキッド」は、シンガポールの外交文化の一環ともなっています。
さらに、教育と市民参加においてもこの植物園は先駆的な役割を担っています。子ども向けの自然体験プログラムや植物学の学習コースが数多く実施されており、持続可能な社会の実現に向けた啓発の場ともなっています。このような活動を通じて、自然環境の価値や生物多様性の重要性が広く市民に伝えられています。
全体として、シンガポール植物園は都市の中心に位置しながら、自然と人間の共生のあり方を体現する場であり、科学、教育、文化の結節点として世界的にも高く評価されています。都市型植物園としての模範であり、その継続的な管理と活用を通じて、21世紀における持続可能な都市緑地のあり方を示しています。

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