スコータイと周辺の歴史地区

スコータイと周辺の歴史地区
© Vyacheslav Argenberg / http://www.vascoplanet.com/, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
タイ王国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年1991年
登録基準(ⅰ)(ⅲ)
その他の区分
公式テキストページ中巻42p
英文タイトルHistoric Town of Sukhothai and Associated Historic Towns

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

スコータイと周辺の歴史地区とは

タイ族初の統一国家の都

「スコータイと周辺の歴史地区」は、タイ北部に位置するスコータイ、シー・サッチャナーライ、カンペーン・ペットの三つの遺跡群から構成され、1991年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。これらの地域は、13世紀から15世紀にかけて繁栄したスコータイ王朝の政治・宗教・文化の中心地であり、タイ民族最初の独立国家とされるスコータイ王国の発祥の地とされています。遺跡群は、初期のタイ建築や仏教美術、都市計画など、多面的な歴史的価値を備えています。

スコータイ王国は、13世紀中葉にクメール王朝からの独立を果たして建国され、ラームカムヘーン大王の治世下で最盛期を迎えました。彼は行政制度の整備や仏教の振興、スコータイ文字の創出などを通じて国家の基盤を固め、タイ文化の形成に大きな影響を与えました。とりわけ上座部仏教の国家宗教化は、後のアユタヤ王朝や現代タイ社会の宗教観にも継承されています。

スコータイ歴史公園内には、王宮跡を中心に200以上の遺構が確認されており、その多くはレンガ造りの基壇の上に立つ仏塔(チェーディ)や礼拝堂(ウィハーン)、修行僧の居住空間(クティ)などで構成されています。代表的な寺院「ワット・マハータート」は、都市の宗教的中心であり、多層の仏塔と仏像群が壮麗な構成を成し、初期タイ様式の特徴を色濃く残しています。また、蓮の花を模した仏塔や仏陀の微笑みをたたえた像には、スコータイ美術独自の優美さと精神性が見て取れます。

シー・サッチャナーライとカンペーン・ペットの両歴史地区も、スコータイ王国の副都や要塞都市として重要な役割を担いました。シー・サッチャナーライでは、「ワット・チャーン・ローム」に代表される象の彫刻を基壇に配した仏塔などがあり、宗教建築と動物信仰の融合が見られます。カンペーン・ペットでは、防衛を意識した都市構造が特徴で、堅牢な城壁と寺院遺構が共存し、軍事と宗教の両機能を果たしていた様子がうかがえます。

これら三地域に共通する都市設計は、水路や貯水池の存在からも明らかなように、自然と共存する持続可能な都市構造を追求したものであり、当時の高度な土木技術と統治理念を反映しています。

現在、スコータイとその周辺の歴史地区は、タイにおける古代文明の原点を伝える貴重な文化遺産として、考古学的価値とともに教育・観光の面でも広く活用されています。その優美な仏教美術、計画的都市構造、文化的統合性は、東南アジアにおける初期国家形成の一つの典型として、国際的にも高く評価されています。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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