| 国 | イラン・イスラム共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2010年 |
| 登録基準 | (ⅱ)(ⅲ)(ⅳ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻69p |
| 英文タイトル | Tabriz Historic Bazaar Complex |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
タブリーズの歴史的バザール群とは
古くから栄えたシルクロードの商業拠点
タブリーズの歴史的バザール群は、イラン北西部に位置する東アーザルバーイジャーン州の州都タブリーズに所在し、長い歴史と豊かな文化的遺産を誇る商業施設群です。このバザールは、シルクロードの主要な交差点の一つに位置し、古代から中世、近世に至るまで、イランとユーラシア大陸の各地を結ぶ重要な交易拠点として機能してきました。現在も使用されているこの広大な市場は、都市の中心部を網の目のように覆い、多様な建築様式と機能を併せ持つ複合的な空間として、高い歴史的・文化的価値を有しています。
このバザールの起源は明確には定かではありませんが、少なくともサファヴィー朝(16世紀)には現在見られるような大規模な構造が整えられたと考えられております。その後も、カージャール朝時代や20世紀初頭までに改修・拡張が繰り返され、現在に至るまでイラン国内最大級の屋根付きバザールとして機能し続けています。
タブリーズのバザール群は、単なる商業施設にとどまらず、モスク、学校、ハマム(浴場)、カラヴァンサライ(隊商宿)などを含む都市機能の核としても発展してきました。特に有名な建築群としては、壮麗な煉瓦造りの「アミール・バザール」や、金銀細工や宝石を扱う「ザルガーラン・バザール」、絨毯の取引で知られる「モジャラバザール」などが挙げられます。それぞれのバザールは、専門性の高い商品群によって区分けされ、職人や商人のギルド組織と密接に結びついています。
また、宗教的・社会的活動の中心地でもあるこのバザールには、ジュメ・モスク(金曜モスク)や学校が併設されており、交易だけでなく教育・信仰・社会交流の場としても機能してきました。これらの建造物は、イスラム建築の装飾美と都市構造の調和を示すものであり、特にアーチ型天井や幾何学模様のタイル装飾、伝統的な天窓による自然採光技術などが顕著に見られます。
タブリーズのバザール群は、2000年代以降、地元住民や商人の協力のもと保存・修復が進められ、2009年にユネスコ世界遺産に登録されました。都市の経済・文化・宗教の中心として、また歴史的な商業ネットワークの証として、同バザールは今なお活気に満ち、訪れる人々にかつての繁栄と職人技の粋を伝えております。
このように、タブリーズの歴史的バザール群は、交易と都市文化の発展を象徴する空間として、世界的にも貴重な遺産であり、今日においても地域社会と深く結びついた生きた歴史の証人であるといえるでしょう。

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