| 国 | タジキスタン共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 自然遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2013年 |
| 登録基準 | (ⅶ)(ⅷ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻219p |
| 英文タイトル | Tajik National Park(Mountains of the Pamirs) |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
タジキスタン国立公園(パミールの山脈)とは
パミール高原にそびえる氷河を頂く山々
タジキスタン国立公園(パミールの山々)(Tajik National Park – Mountains of the Pamirs)は、タジキスタン東部に広がる広大な山岳地帯を含む自然保護区であり、2013年にユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されました。この地域は「世界の屋根」とも称されるパミール高原に位置し、標高3,500メートルから7,000メートル級の山々が連なる厳しい自然環境の中にあります。
公園の総面積は約2万5千平方キロメートルに及び、タジキスタン国内でも最大の自然保護区となっています。ここでは、ヒンドゥークシュ山脈、カラコルム山脈、天山山脈など、ユーラシア大陸を代表する複数の山脈が交差しており、その地質的・地形的多様性は他に類を見ないものです。この地域はプレートの衝突によって形成された活発な地殻変動帯であり、氷河や深い渓谷、湖沼、広大な高山草原など、雄大な自然景観が展開されています。
タジキスタン国立公園は、希少で多様な動植物が生息する重要な生物多様性の宝庫でもあります。特に注目されるのは、高山帯に生息するスノーレパード(ユキヒョウ)やアルガリ(マルコポーロ羊)、シベリアアイベックス、ヒマラヤハゲワシなどの絶滅危惧種です。こうした生物は、厳しい自然環境の中で独自の適応を遂げており、生態学的にも大きな関心を集めています。
また、地域内には氷河が数多く存在し、気候変動の影響を直接受けやすい地域でもあります。パミール高原の氷河は中央アジアの主要な水源であり、アムダリヤ川やシルダリヤ川などの大河の源流にもつながっています。このことから、タジキスタン国立公園は単なる自然景観の価値にとどまらず、中央アジア全体の水資源の保全にとっても重要な役割を担っているといえます。
この地には定住者は少なく、人の影響が比較的少ないため、自然が原始的な状態で保たれている点も評価されています。しかし一方で、厳しい自然環境の中でも牧畜や季節移動を行いながら暮らしてきた遊牧民の存在もあり、人と自然との伝統的な関係も見られます。これらの人々の生活は、自然環境と共生する知恵に満ちており、文化的な側面からも注目されています。
このように、タジキスタン国立公園(パミールの山々)は、その壮大な山岳景観、気候・地形の多様性、そして希少な生物種の存在などから、地球規模で重要な自然遺産として認められました。人類にとって貴重な自然の宝庫であり、今後もその保全と持続的な利用が求められる地域です。タジキスタン国立公園は、訪れる人々に対して地球の自然の力強さと繊細さを感じさせ、自然と調和する生き方について考えさせてくれる場所となっています。

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