タンバリの考古的景観にある岩絵群

キウイオディシー, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
カザフスタン共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2004年
登録基準(ⅲ)
その他の区分文化的景観
公式テキストページ中巻176p
英文タイトルPetroglyphs within the Archaeological Landscape of Tamgaly

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

タンバリの考古的景観にある岩絵群とは

遊牧民の生活を伝える岩絵

タンバリの考古的景観にある岩絵群は、カザフスタン南部、アルマトイ州の乾燥した渓谷地帯に位置し、中央アジアの古代遊牧文化と宗教的実践を視覚的に伝える重要な遺産です。この地には、約5,000点にも及ぶ岩絵(ペトログリフ)が残されており、それらは紀元前14世紀ごろから20世紀初頭にかけての長い期間にわたって刻まれたものです。これらの岩絵は、ユネスコにより2004年に世界遺産として登録されました。

タンバリ渓谷は、岩絵の保存状態が良好であるだけでなく、自然環境や地形が古代の人々の宗教的儀式にふさわしい神聖な場として機能していたことを示しています。とりわけ中心的な場所である「タンバリ・サイト」には、儀礼的な意味合いを強く持つ岩絵が集中しており、太陽神や仮面をかぶった人物像、出産、狩猟、動物の図像などが描かれています。これらは単なる装飾ではなく、当時の宗教観や世界観、社会的価値観を反映していると考えられています。

最も古い岩絵群は青銅器時代にまでさかのぼり、写実的なスタイルで描かれた動物や人物が特徴です。一方で、後の時代の岩絵には、より抽象的な表現や、仏教、イスラームの影響を受けたものも見られ、地域における宗教や文化の変遷を物語っています。また、岩絵だけでなく、周囲には墓地や祭祀跡、定住地の痕跡もあり、当時の人々の生活や精神文化を包括的に理解する手がかりとなっています。

タンバリの岩絵群は、遊牧民や半定住民によって世代を超えて描き継がれてきたものであり、それ自体が持続的な信仰行為や文化継承の象徴といえます。これらの図像はまた、現代のカザフスタンにおいても文化的アイデンティティの重要な一部とされており、民族の歴史や精神的伝統を現在に伝える貴重な資源となっています。

保護と研究は現在も続けられており、文化省を中心とする保存活動や、訪問者のための教育的整備も進められています。タンバリの岩絵群は、中央アジアにおける先史時代から近代に至るまでの精神文化と芸術表現の豊かさを物語る貴重な遺産として、今後も国際的な関心と保護が期待されます。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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