| 国 | バーレーン王国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2012年 |
| 登録基準 | (ⅲ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻181p |
| 英文タイトル | Pearling, testimony of an island economy |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
ペルシア湾の真珠産業関連遺産:島嶼経済の証拠とは
ペルシア湾岸で栄えた真珠業の中心地
ペルシア湾の真珠産業関連遺産:島嶼経済の証拠は、バーレーン王国に位置し、かつてこの地域の主要産業であった真珠採取とそれに基づく経済活動の豊かな歴史を今に伝える遺産です。この世界遺産は、2012年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。構成資産は、真珠漁を行っていた海域、関連する3つのオアシス、そしてバーレーンの都市ムハッラクにある17の建造物から成り立っており、19世紀から20世紀初頭にかけての島嶼経済の重要な証拠とされています。
真珠産業は、石油が発見される以前のバーレーンにおいて、最大の経済的基盤であり、多くの人々がこの産業に従事していました。採取された真珠は高品質で、アラブ世界のみならず、インドやヨーロッパ、アジアの各地へと輸出され、国際的な交易の重要な一端を担っていました。バーレーンの真珠は、自然真珠として知られ、特にその輝きや大きさ、色合いにおいて高い評価を受けていました。
遺産の構成要素には、真珠を採るための漁場とともに、真珠漁の出発点であった港町や漁師の家、交易商の邸宅、商館、倉庫、モスク、さらには真珠商の活動の中心であったスーク(市場)などが含まれています。これらの建造物は、当時の社会構造や経済活動、宗教生活、文化的交流の様子を今に伝えており、真珠産業が島の社会全体にどのように根付いていたかを示す貴重な証拠です。
特にムハッラクの町は、真珠産業の中心地として発展を遂げ、多くの裕福な商人たちが居を構え、そこに建てられた邸宅や公共建築には、当時の建築技術や装飾様式がよく表れています。また、真珠産業を支えた労働者たちの居住区や共同井戸、集会所なども保存されており、当時の生活の実態を知るうえで貴重な資料となっています。
さらに、この遺産は経済的側面だけでなく、文化や社会における影響も伝えています。真珠漁には特有の信仰や儀礼があり、それらが地域文化や宗教的実践と深く結びついていたことが確認されています。たとえば、航海の安全や豊漁を祈願する儀式、共同体の連帯を強める行事などが、真珠産業に関わる人々の精神的支えとなっていました。
真珠産業は20世紀初頭の世界的経済変動や養殖真珠の普及により急速に衰退しましたが、この遺産は、その繁栄期における生活と経済の様子を、広範かつ具体的に保存している点で極めて重要です。ペルシア湾の真珠産業関連遺産は、島嶼社会が自然資源にどのように依存し、それをいかにして持続可能な形で利用していたかを示す好例であり、人類の文化的多様性と歴史的適応力を証明する貴重な世界遺産です。

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