| 国 | エジプト・アラブ共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 1979年 |
| 登録基準 | (ⅰ)(ⅲ)(ⅵ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻244p |
| 英文タイトル | Ancient Thebes with its Necropolis |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
古代都市テーベと墓地遺跡とは
ツタンカーメン王の墓がある新王国時代の遺跡
「古代都市テーベとその墓地遺跡(Ancient Thebes with its Necropolis)」は、エジプト文明の宗教的および政治的な中心地として栄えた都市とその周辺に広がる壮大な墓地群を含む世界遺産です。ユネスコには1979年に文化遺産として登録されており、ナイル川中流域に位置するテーベは、紀元前16世紀から11世紀にかけての新王国時代にエジプトの首都として君臨しました。ファラオの王権、神への信仰、そして死後の世界への思いが、この地域に築かれた建築や芸術に色濃く表れています。
テーベの中心には、カルナック神殿とルクソール神殿という二大宗教施設があり、いずれもアメン神をはじめとする神々を祀る場として機能していました。特にカルナック神殿は、数世紀にわたって増改築が繰り返された複合建築であり、その巨大な柱廊やオベリスクは古代エジプト建築の粋を集めたものとして高く評価されています。これらの神殿は、王の権威の正統性を示す宗教儀礼の舞台であり、国家的な祭祀の中心でもありました。
ナイル川西岸には、「死者の都」と呼ばれる広大な墓地遺跡が広がっています。ここには王家の谷(Valley of the Kings)、王妃の谷(Valley of the Queens)、および貴族や高官の墳墓が多数存在します。王家の谷は特に著名で、ツタンカーメン王の墓が発見された場所としても知られています。岩を掘り抜いて造られたこれらの墓には、死後の旅路を導くための壁画や神話の場面が精緻に描かれており、古代エジプト人の死生観や宗教的信念が読み取れます。
また、ハトシェプスト女王の葬祭殿は、その独特な段状の建築と崖に溶け込むような配置で高く評価される建築物です。この建物は、女性ファラオであったハトシェプストの権威を象徴するとともに、アメン神への信仰を示す宗教施設でもありました。加えて、メムノンの巨像やラメセス2世のラメセウムなど、王たちの偉業を伝える記念碑的建築もこの地に数多く残されています。
古代テーベとその墓地遺跡は、建築・美術・宗教・歴史など多方面にわたる価値を有し、古代エジプト文明の精神的な中枢を今に伝える遺産です。多くの王や神々の物語を今も静かに語り続けるこれらの遺構は、人類の文化的遺産として極めて貴重な存在であり、今日でも世界中から訪れる人々の関心を集めています。

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