ウルク・バニ・マアリド

ウルク・バニ・マアリド
モルテル教授, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
サウジアラビア王国
登録区分自然遺産
世界遺産登録年2023年
登録基準(ⅶ)(ⅸ)
その他の区分
公式テキストページ中巻236p
英文タイトル‘Uruq Bani Ma’arid

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

ウルク・バニ・マアリドとは

「何もない」砂漠に広がる独自の生態系

ウルク・バニ・マアリド(‘Uruq Bani Ma’arid)は、サウジアラビア中西部に位置するアル=ダフナ砂漠の南端に広がる広大な自然保護地域で、2023年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。この地域は、アラビア半島最大の連続した砂丘地帯である「ルブアルハリ(空白の地)」の一部を含んでおり、過酷な乾燥環境の中に独自の生態系が発達していることから、自然遺産として極めて重要な価値を持っています。

ウルク・バニ・マアリドは、典型的なサンドデューン(砂丘)景観が続く一方で、乾燥した山岳地帯や礫砂漠、塩性湿地(セブカ)など多様な地形がモザイク状に広がっており、極端な自然環境の中にあっても豊かな生物多様性が確認されています。この地域は、アラビアオリックスやアフリカヒョウ、ドロンガゼル、アラビアサンドキャットなど、乾燥地に適応した希少種や絶滅危惧種の重要な生息地となっています。

特にアラビアオリックスは、20世紀中頃に野生絶滅した後、保護下での繁殖と再導入によって本地域に再び定着した成功例として知られており、絶滅危惧種の保全と復元における国際的なモデルケースとなっています。これにより、ウルク・バニ・マアリドは、自然保護と持続可能な生態系管理に関する先進的な取り組みの場ともなっています。

この保護地域はまた、アラビア半島の気候や生態系の長期的な変遷を示す証拠も多数残しており、地質学的・古環境学的な観点からも非常に貴重な存在です。化石や古湖跡の分布からは、かつてこの地がより湿潤な気候であったことがうかがえ、地球規模の気候変動への理解を深める上でも重要な役割を果たしています。

さらに、この地はベドウィン文化をはじめとする遊牧民の生活とも深く結びついており、自然と人間の共生のあり方を体現する地域としての意義も持っています。近年では自然保護と観光のバランスを取るエコツーリズムの導入も進められ、持続可能な活用が模索されています。

このように、ウルク・バニ・マアリドは、極限環境における生物多様性の保全、生態系復元、そして気候変動に対する理解の深化に資する自然遺産として、世界的に高く評価されています。

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