| 国 | モンゴル国 ロシア連邦 |
|---|---|
| 登録区分 | 自然遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2003年 |
| 登録基準 | (ⅸ)(ⅹ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻234p |
| 英文タイトル | Uvs Nuur Basin |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
ウヴス・ヌール盆地とは
東ユーラシアを代表する生態系
ウヴス・ヌール盆地(Uvs Nuur Basin)は、モンゴルとロシアの国境地帯にまたがる広大な自然地域で、2003年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。この地域は、ユーラシア大陸の内陸部に位置し、極めて多様な生態系を持つことで知られています。乾燥したステップ地帯から、砂漠、湿地、湖、森林、さらには永久凍土が見られる高山帯に至るまで、さまざまな自然環境が密接に共存しています。
この世界遺産の中心には、モンゴル最大の塩湖であるウヴス湖が広がっており、周囲の乾燥した土地と対照的な存在として、数多くの動植物の生命を支えています。湖は標高760メートルに位置し、外海と接続していない内陸湖のため、塩分濃度が高いのが特徴です。湖周辺の湿地帯や川沿いの草地は、渡り鳥や水鳥にとって重要な休息・繁殖地となっており、特にシベリア産のカモ類やツル、猛禽類などが多く観察されます。
ウヴス・ヌール盆地には、代表的なステップ性の動物であるサイガアンテロープ、アルガリ、スナボウズ、マーモットなどが生息しているほか、ヒョウ、オオヤマネコ、イヌワシといった希少な捕食動物も確認されています。また、寒冷な気候にも適応した植物種も多く、植物生態学的な観点からも極めて貴重な地域となっています。
この遺産が持つ顕著な価値の一つは、異なる気候帯と生態系が短い距離の中で共存している点にあります。北のタイガ(針葉樹林帯)から南のゴビ砂漠にかけて、わずか150キロメートルほどの範囲内に多様な自然環境が連なっており、気候変動や自然遷移の影響を比較観察する上で極めて優れた自然の実験場となっています。
また、この地域は人間の手による開発が比較的少ないことから、自然環境が原始的なまま保たれている点でも重要です。伝統的な遊牧文化も現在に息づいており、自然との共生を続ける人々の暮らしもまた、この地域の文化的価値を高めています。
ウヴス・ヌール盆地は、自然の多様性と原始性を色濃く残す貴重な地域であり、生態系の保全と地球規模での環境変動の研究にとっても重要な拠点です。国境を越えた協力によって保護されるこの遺産は、自然と人間が共に生きる未来の在り方を示す模範となっています。

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